想いのままに心のままに ~結婚より仕事の30女が身ごもりました~
恵理の瞳から涙が溢れた瞬間、宏貴が肩を抱き寄せる。

「私、本当に幸せだった。」
「・・・恵理」
「幸せだった。すぐに気づけなかった自分が悔しい。」
命が宿ったことを知った時、喜びよりも先に不安や困惑が勝った。
やっと気づけた瞬間消えてしまった命。

「また・・・」
「・・・」
「また来てくれるかな・・・。」
「うん」
「また来たいと思ってもらえるように・・・」
恵理が視線を宏貴に移す。
「また来てくれるように、ちゃんと前に進みたい。宏貴と一緒に。」
恵理の言葉を聞いて宏貴は恵理の体を強く抱きしめる。
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