想いのままに心のままに ~結婚より仕事の30女が身ごもりました~
父を追って、いつも女性と病院からどこかへ行く姿を見ていた恵理。
思い切って父を呼んだことがあった。

その時の明らかに動揺していた父の表情と、恵理に背を向けて慌てたように女性が乗り込んだ車に乗る父を、今でも忘れられない。

病気の母が亡くなったあと、半年も待たずに父は再婚した。



再婚をしても、恵理はずっと母方の祖父母の家に預けられて、父が迎えに来てくれることはなく、年々、恵理を父は訪ねることが減った。

「恵理?」
隣を歩いていた宏貴に名前を呼ばれて、はっとする恵理。
「どうした?」
ぼーっとしている恵理に、心配そうな顔をする宏貴。
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