海とメロンパンと恋
想いと気持ち



「胡桃」


「・・・は、い」


「全部、胡桃だからだ」


「・・・」


「胡桃のことを知りたい
胡桃の声を聞きたい
胡桃に触れたい
俺の中、胡桃で埋まってる」


「・・・」


「好きだ」


「・・・っ」


「初めて会った日から
胡桃のことばかり考えている」


「・・・」


「俺みたいな男が無垢な胡桃を好きになるなんて許されないと思ってる」


「・・・」


「でも、どうしようもなく好きなんだ」


「・・・」


「胡桃じゃなきゃ、要らない」


桐悟さんからの告白は
強くて、甘くて、真っ直ぐで


願っていた答えなのに
胸が苦しくて堪らない


溢れ落ちる涙を拭おうとした手は
伸びてきた桐悟さんの手に捕まった


「なぁ、胡桃。その涙はどういう意味だ?」


「・・・」


「こうして触れても嫌がらないのは
期待しても良いってことか?」


必死で気持ちを押し込めようと足掻く私を


攻めてくる桐悟さんは真っ直ぐで


誤魔化そうとしている自分の方が
よっぽど捻くれている


自分のことを包み隠さず曝け出してくれた桐悟さんに


私も・・・
そう思えば思うほど

覚悟は決まらなかった


「桐悟さん」


「ん?」


呼吸を落ち着かせながら
口を開こうとした


刹那



「胡桃っ」


白衣のままのお兄ちゃんが店内に飛び込んで来た










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