タングルド
油壺マリンパーク・・・・

「寒かったかな?」

「大丈夫、というより水族館なんてどれくらいぶりだろう。うれしいかも」

「よかった、寒いかもと思ったけど、ほどよくドライブができていいかなって思って」

じゃあ、と言うと私の手を握って歩き出す。
歩きやすい靴で良かったとか、バッグもクロスがけ出来るやつでよかったとか、つないだ手の平が熱いとか・・・結構、脳内がパニックになっている。

あしかやペンギンの姿をスマホの画像フォルダに納めながらふと思い立ってtwitterに上げてみた。
「雪ってtwitterやってたんだ」

「やってるってほどやってないのよ、たま~に思いついて写真をアップするくらい。だからフォロー数もフォロワー数もほとんど無いし、最後の投稿が2ヶ月まえだったりするのよね。賢一は?」

「俺はやってないよ」

「だから“いいね”とかもほぼつかないの」
と言って、ふと見ると古い記事に昨日“いいね”がついてた。
それは、お酒や酒のアテなどの写真で、これと言って珍しい物ではない。

「どうした?」

「うううん、古い記事に昨日“いいね”がついているんだけど、知らない人だから」
そう言っていると、その人物からペンギンの写真に“いいね”がついた。

少し身体が冷えたので、水族館館内に入ると肩を抱かれた。
うわっ、ナニコレ!
私の方が3歳も上なのに、どう考えても主導権は賢一だ。でも、いやじゃない。

しばらく歩いていると360度のパノラマ水槽の部屋に着いた。
幻想的な風景にただそこにいるだけで満たされていく。

「水族館って不思議ね、とくにここは水槽に囲まれて水の中にいるよう・・・母の胎内のイメージ?だからなのか、すごく落ち着く」

「うん、俺も椅子に座って閉館時間までいられそうだが、イルカショーの前に何か食べよう」





< 22 / 226 >

この作品をシェア

pagetop