先輩と泣き虫
「…青沢……」

呟く声と頭を優しく撫でられた気がして目を覚ますと、先輩は私から急いで身体を離した。
そして教室を出ようとする先輩。

「ま、待って…ください…!」

私は必死で先輩の服を掴んだ。

「っ好き…だったんです、ずっと…!」

やっと、言えた。
でも先輩は信じられないという顔で下を向く。

「ウソ…つけ…」

「ほんと…本当、です…!!」

「嘘つけ…!ずっと、避けてたろ…!!俺のこと…」

悲しそうに、先輩は下を向いたままそう言い放った。

「だ…って…だって…」

私は涙声で必死になっていて言葉にならない。
だったら…わかってもらえるように願いを込めて……

「んっ……」

ちゅっ…

「…はぁ…」

私からの、初めてのキスを先輩に。

「…。」

…落ち着いて…わかってもらえるように…

「ずっとっ…先輩のこと…好きだった…。でも…私の気持ち…知ったら…きっと…嫌われる、って…拒否されたら、って…怖くて…」

私はまた涙が出てきて、ごめんなさい、ごめんなさい、そう謝りながら下を向いた。

「…そんな……」

先輩の悲しそうな声。
まだ私は顔が上げられない。

「…俺だって…ずっとお前のこと好きだったのに…大好きな女の子を、気持ちも知らないで俺、最低だ…心も…身体も…傷つけた……」

…好き…?
先輩、私のことが好きだって言った…?

「…本当に……?」

私は先輩を見つめる。

「青沢…ずっと好きだった…。でも避けられるのが辛くて…そうしたら何もかもどうでも良く思えたんだ…。どうせ嫌われているなら、なんて…。…もっと嫌われるに決まってる…辛い目に合わせて無理やりなんて、お前のことを大事に思ってない証拠だ……」

下を向いたまま、呟くように言う先輩。
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