パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
 そこからほど近いセーヌ河に架かるポン・デ・ザール(芸術橋)に向かった。
 ここは歩行者専用の橋で、パリに住む人々の憩いの場所になっている。
 今はバカンスシーズンなので、ここにいる人の多くは観光客だろうけど。

 わたしたちは橋のなかほどにあるベンチに並んで腰掛けた。

「7、8年前まで、あそこの柵が南京錠で埋め尽くされてたの、知ってる?」
 ラファエルはわたしに訊いてきた。

「うん。だいぶ前に日本のテレビで観た。恋人たちがふたりの名前を書いて、永遠の愛を誓ったんでしょう?」
「そうだよ。あんまりにも数が多くなっちゃってさ。橋が崩落しそうになって禁止になったけど」

 そう言うと、ラファエルはおずおずとわたしの手の上に、自分の手を重ねた。

「今も鍵がかけられたら良かったんだけど……」
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