パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
 はにかみ屋の彼の、遠回しだけど、せいいっぱいの告白。
 でも……ごめん。
 やっぱり答えられない。

 わたしはそっとラファエルの手を外した。
「ごめんなさい」
 
 眼鏡の奥の青い目が、にわかに陰りをおびたのがわかった。

 わたしは目線を外さずに言った。
「好きな人がいるの」

 ラフは目を伏せて、それから静かな声で言った。
「わかってたよ。なんとなく」

 悲しげな表情のラファエルを見て、ぐわーっと激しく後悔の念に襲われた。
 わー、ひどいことしてしまった。
 失恋したからって、すぐ別の人と付き合おうだなんて。

 わたしの心は、まだルイでいっぱいなのに。
 まだルイしかいないのに。
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