パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
「もう向こうに行ってよ」
 わたしはルイの腕を引っ張った。
「わたしが誰と付き合おうと、別にルイに関係ないでしょう!」
「ここを出て、あいつのところに行くのか?」
「そんなわけ……」

 ああ、そうか、わかった。
 ルイはわたしに出て行ってほしいんだ。
 そりゃ、そうだよね。
 恋人がいるのに、別の女の子と同居してたら、彼女に文句を言われるに決まってる。

「ルイが出て行ってほしいんなら、いつでも出ていきますから」
「そんなことは言ってない。あいつと暮らすのかと訊いているだけだ」

 ルイはわたしの腕をつかんできた。

 もう、なんなのよ。
 なんでそんなに不機嫌なの?

 わたしのことなんか、なんとも思ってないくせに。

 そう思ったとたん、たがが外れたようにわたしの目から涙が零れ落ちた。
 後から後から零れつづける。
< 147 / 245 >

この作品をシェア

pagetop