パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
***

 その後、ラファエルと映画を観て、食事を済ませて、午後8時ぐらいに帰宅した。
 すると、めずらしくルイのほうが先に帰っていた。

「Bonsoir(ただいま)」
 わたしがそのまま自分の部屋に入ろうとすると、ルイがドアの前に立ちはだかった。
 手にブランデー・グラスを持ったまま。

「なかなかやるな、薫。さっそく金髪を捕まえたんだな」
 
 その言い方がものすごく嫌味に響いて、ムカッときた。
 それにお酒くさい。
 どうしたんだろう。
 こんな早い時間から飲んでるなんて。
 
「通して」

 わたしはルイを睨みつけた。
 酔っ払いの相手なんかしちゃいられない。

 今、底なし沼にはまっているような気分なんだから。
 煮え切らない気持ちのまま、男の子を紹介なんかしてもらって、あんなにいい人を傷つける羽目になったことを。
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