パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
「おはよう」
 欠伸混じりに挨拶すると、キッチンで朝食支度中のルイがこっちを向いた。

「やっと起きたな」
 ちょっと待ってろよと言って、顎で椅子を示した。

 キッチン中、いい匂いが漂ってる。
「わーい、pain perdu(パン・ペルデュ)だ」

 パン・ペルデュは日本でいうところの、フレンチトーストのこと。

「薫、好きだろ、これ」
「大好き。ルイのパン・ペルデュ、お店で食べるより美味しいから」

 実はルイ、料理も得意だったりする。

「いっただきまーす」
 あー、この絶妙な甘さとじゅわっと柔らかい食感。
 美味しすぎて、まじ頬っぺたが落ちる。

  と、このようにふたりの間にはなんの問題なく、愛情たっぷりの日々を過ごしていたのだけれど……
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