国宝級美男子のお世話は甘い危険がいっぱい〜私の心臓いくつあっても足りませんっ〜
「ら、雷斗くん……」


「俺は親父の言うとおりに成績も内申点もトップを守り続けているだろ。自分の付き合う女くらいは自分で決める。羽花は俺の大切な彼女なんだから、怖がらせないでやってくれよ」


「確かに成績トップを維持するのであれば高校生活は好きにしてもいいと言った。だから一人暮らしも認めて会社のマンションをお前の部屋として貸してやってるが、女遊びだけは駄目だ。考えなくても分かることだろう。お前にはちゃんとした女を嫁に貰ってもらわないと困るんだよ、雷斗が高校を卒業したら四葉建設の令嬢とお見合い結婚してもらう予定なんだからな。こんな子羊みたいに震えているような小娘とは一緒にいても時間の無駄だ。さっさと別れておけ」


 お見合い結婚、意味がない、時間の無駄。


 お父さんの怖い言葉が頭の中を隙間なく埋め尽くす。身体が闇の中に沈んでいくように、立っている感覚が無くなってきた。


 自分と一緒にいたら雷斗くんにとっては意味の無いことになってしまうんでしょうか。今までの時間は無駄なことっだったのでしょうか。


 嫌な考えが頭の中によぎり、闇に沈んだ身体がふらついてくる。

< 173 / 225 >

この作品をシェア

pagetop