初恋マリッジ~エリート外交官の旦那様と極上結婚生活~

鬱陶しかった梅雨も終わり、厳しい暑さが続くなか迎えた八月の夏休み。

中ジョッキをガチンと合わせて、生ビールに口をつける。

「ん~! 夏はやっぱりビールだね!」

真紀が口もとについた生ビールの泡を手の甲で拭う。その仕草があまりにも男前で、陽太と声を合わせて笑った。

毎年、夏休みになると、下北沢(しもきたざわ)のビアガーデンで飲むのが恒例行事。でも、来年の夏はもう日本にいないかもしれない。

三人で集まって飲むのも、しばらくできないと思うと寂しい。

「明日マレーシアに行くんだろ? 前の日に飲んでいて大丈夫なのかよ」

真紀と陽太には、明日の便で日本を発って彼のご両親に挨拶に行くことも、十一月に結婚式をあげることもすでに伝えてある。

「だって、今日しか都合がつかなかったんだもん。出発はお昼前だし、たくさん飲まないように気をつけるから大丈夫」

「あ、そ」

陽太が素気ない返事をして生ビールを飲む。

この前、陽太は途中で帰ってしまったけれど、真紀の言う通り、次の日には【ごめん】と謝りのメッセージが届いた。

なんだかんだ言っても、私たちを気にかけてくれる優しさがうれしい。

「それにしても、五月に再会して十一月に結婚式って早すぎない? まさかデキ……」

「違うからっ! なにもないのに、赤ちゃんができるわけないでしょ」
< 106 / 184 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop