初恋マリッジ~エリート外交官の旦那様と極上結婚生活~
ふたりで熱い夜を過ごした翌日。彼のご両親に挨拶するために、新調した紺色のワンピースに袖を通す。
ご両親は私たちの結婚に賛成してくれていると聞いたけれど、粗相がないようにと思うとどうしても緊張してしまう。
背中に腕を回してファスナーを上げようとしても、気が張っているせいで指先が震えてうまくいかない。
ここは一旦、落ち着こうと手を下ろして「ふう」と息をつくと、白いワイシャツに着替えた彼が背後に立った。
「ありがとう」
無言でファスナーに手をかける彼にお礼を伝え、髪をサイドに流す。けれど、すべて上がり切らないうちに、彼が動きを止める。
「なかなかいい眺めだな」
ひとり言のような言葉を口にした彼には、私の素肌が見えているはずだ。
自分では直接目にできない箇所を、じっくり見られるのは恥ずかしい。
「ねえ、早く上げて」
視線をうしろに向けてお願いすると、あろうことかうなじに唇を寄せる彼の姿が目に映った。
「ひゃっ」
予期せず与えられた刺激に焦って声をあげる私を見て、彼が唇の端を上げる。
「もう!」
からかわれたままではいられないと、握りこぶしを作って彼の胸をトンと叩いてみても、私の攻撃など痛くも痒くもないようだ。
私を抱きしめて陽気に笑い、背中に腕を回してファスナーをサッと上げた。