初恋マリッジ~エリート外交官の旦那様と極上結婚生活~
「……んっ」
甘い刺激に耐え切れず、唇の端から吐息が漏れる。しかし、それが合図だったように彼の動きが止まった。
「ごめん。理性が飛んだ」
彼が勢いよく上半身を起こし、気まずそうに髪をクシャリと掻き上げる。
濃厚なキスもソフトなボディタッチもうれしかった。それなのに、途中で思い留まるなんてあんまりだ。
「……やめないで」
体を起こして彼の首に両腕を絡ませ、耳もとで思いをささやく。けれど、私の願いを邪魔するように、乾燥が終了したことを知らせるメロディが流れた。
「終わったみたいだな」
乾いたワンピースを取りに行くために立ち上がった彼のシャツの裾を掴む。
「……直君」
「ごめん。今日中に終わらせたい仕事があるんだ。着替えたらタクシーを呼ぼう」
すがるように名前を呼んでも、彼は私の思いに応えてはくれなかった。
途中までいいムードだったのに、どうして態度が急変してしまったのだろう。
拒否される理由がわからず、ひとりになったリビングで膝を抱えてため息をついた。