宿敵御曹司の偽り妻になりました~仮面夫婦の初夜事情~
「若い娘さんが、時々大学へ行く以外、島で一人ぽっちですよ。
社長に何度も言ったんです。島に来て、一花さんに会う様に。
社長も何か誤解されてるようでしたからねえ…。」
「そうでしたか。山形さんが社長にお声がけして下さったんですか。」
「まあね、一花ちゃんはいい子ですからねえ。」
山形は少し得意げに話を進めた。本当に一花を可愛がっていたのだろう。
「一度お会いになってからは、社長も頻繁に島に来られるようになりました。」
買い取った小さな島の様子を見に来ているのかと思ったが、
別荘で昼時を過ごすと東京へ帰っていく。それがしばらく続いた。
社長に呼ばれて一花が島から東京へ行ったのはこの頃だったろうか。
風間は山形の話を聞きながら、時間軸に添って二人の行動を整理していた。
「一花ちゃんから急に連絡があって、離れの戸締りを頼まれたんですが…。」
そういえば、あの時の社長はおかしかった。
妻の大学とか採用試験とか、全く知らなかったみたいだし…。
改めて、山形は不信感を持った。
「あの夫婦は、不思議でしたねえ。」