宿敵御曹司の偽り妻になりました~仮面夫婦の初夜事情~
一花が島に来た日、別荘の管理人である山形夫妻がフェリー乗り場まで迎えてくれた。
夫妻は、一花の世話をする様に水杉社長から言いつかったと自己紹介した。
一花の祖父母に近い年齢の温厚そうなご夫婦だった。
まだお元気そうだが、高齢の二人がフェリーでわざわざ島に通うとは…。
彼女の世話をする為に毎日通って来るのは申し訳なかった。
「お世話なんて…子供じゃないし、大丈夫です。」
管理人の収入は年間契約というから、何回島に通っても同じでは気の毒だ。
山形夫妻に連れられてやってきた別荘はとても立派な建物だった。
それなりに広く、ウッドデッキも見えた。庭には花壇もある。
こんな環境にたった一人で住むのは億劫だったが
よく見たら庭の端っこに、可愛いコテージ風の建物があった。