宿敵御曹司の偽り妻になりました~仮面夫婦の初夜事情~
「あの建物は?」
「ああ、お客様用に建てたもので、寝室や簡単なキッチンがありますよ。
勿論、バストイレ完備です。」
狭いコテージ風の離れに住むのなら、一花一人で家事は全部できる。
「最高ですね!私、そっちに住みたいです!」
「え?奥様が離れに?」
「一人でのんびり住みますので。」
「お掃除や、お食事の支度やら…奥様お一人で?」
管理人夫妻は信じられないと言う様に一花を見た。
「勿論、自分でやりますよ。」
山形夫妻は、陸からどんな妻だと説明を受けていたのだろう。
家事も出来ないオンナだと思われていたらしい。
「これまで通り、月に1、2回だけ別荘に来て下さい。母屋のお掃除と庭の手入れをお願いします。」
年配の山形夫妻は、安堵した様でもあるが心配そうな表情をしていた。
「奥様…本当に、本当にお一人で大丈夫ですか?」
「山形さん、大丈夫。一人でのんびりやりますから。困ったらご相談しますね。」
一花がそう言うと、やっと夫妻は納得してくれた。