宿敵御曹司の偽り妻になりました~仮面夫婦の初夜事情~


一花は、卒業論文を書いたり家事をしたりするしかやる事がなかったので、
チョッとしたお小遣い稼ぎになって正直、ありがたかった。

陸から振り込まれる『お小遣い』は、
母と弟に送金した後、一花には使える額が殆ど残っていなかったのだ。

ばあ(・・)や秋山夫妻には『水杉一花』は、水杉家の親族だと自己紹介していた。
普段着にジャージを愛用する一花が、水杉商事の社長夫人とは誰も思いはしないだろう。



そんなこんなで、一花の毎日は充実していた。
結婚したとはいえ、陸に妻のお勤め(S E X)を強要されるでもなく自由に暮らせるのだ。

数年前に痛めた足のリハビリを兼ねて、砂浜のウオーキングは最適だ。

ばあ(・・)や秋山夫妻にお裾分けしてもらった食材で美味しいものは作れるし
バイトでお小遣い稼ぎも出来る。

年内に何度か教授に卒論を見てもらえば、無事卒業出来そうだ。

数年ぶりに、一花はのんびりとした気分で過ごしていた。



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