宿敵御曹司の偽り妻になりました~仮面夫婦の初夜事情~
陸は面食らっていた。
いきなりアジアの某国の大使に声を掛けられたのだ。
「水杉さんですか?娘から伝言を頼まれまして。」
「サーマート大使のお嬢様からですか?」
「あなたのお連れの方と踊りに行くって。」
スマホを見ながら、サーマート氏は嬉しそうに話しかけてくる。
「は?」
「お連れの方と先ほどお目にかかりましたが、お綺麗なお嬢さんですね。」
「お嬢さん…。」
「ええ、娘と同じくらいの年頃のお嬢さん。イチカさんです。」
「…妻です。」
「は?」
「私の妻です。」
流石の大使も、一瞬目をしばたかせたがすぐに気を持ち直した。
ニッコリと微笑むと言い直したのだ。
「こちらのクラブに奥様と娘が遊びに行きましたので。よろしくとの事でした。」
「わざわざ伝言をありがとうございます。大使。」
一花とサーマート氏の繋がりはさっぱりわからないが、取り敢えず、陸は笑顔でお礼を述べた。