宿敵御曹司の偽り妻になりました~仮面夫婦の初夜事情~


 まだ20過ぎの一花が契約に利用されるのは気の毒だと思ったが、
若い娘が島に捨て置かれて、夫にも愛されないとしたら…。
すぐに音を上げて、水杉陸と別れたいと言い出すのは目に見えていたのだ。
よく半年も我慢したものだ。


「彼は…島で放っておけば、私が浮気すると思っていたの?」

「まあ…。そうですねえ。」

田沼弁護士は言葉を濁した。

初めて会った頃の陸は、私を見ようともしていなかった。
余程、大田原から酷い話を聞いていたのだろう。


「理由は何でも構いません。離婚さえ、出来れば。」

「わかりました。そのように社長に伝えてみましょう。」

「ただ、彼に話すのは2週間後にして下さい。」

「2週間後…ですか?」

「もう島は出て来たのですが、やらなければならない事があるんです。」

「島を出て、どうされるんですか?」

「それは…言えません。これからは全て、島谷の伯父の方へ連絡をお願いします。」

「わかりました。伯父様があなたの代理人ですね。」

「よろしくお願いいたします。」



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