キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
やっと陸翔たちだと判明して重い空気が明るくなったが、陸翔たちは無事だったというのに、茉緒にお礼を言われても自分の不甲斐なさに素直に喜べなかった。
しかも事後処理をしていた夜中に過労で倒れるとか、情けなくて誰にも言えない。
倒れたといっても、眩暈を起こしてしばらく動けなかっただけだが。
働きづめだったのもあるが、陸翔が見つかるまでずっと気を張っていたし茉緒が気になってピリピリしていたのが、陸翔の無事を確認できて気が緩んだのもあるだろう。
だが、奇しくも陸翔にぶっ倒れるぞと言われたことが本当になってしまったと思うと自分を嘲笑した。
馬鹿だな俺はと落ち込んだ後には茉緒が陸翔に縋って泣いているのにも嫉妬してる自分がガキ過ぎて自己嫌悪に陥った。
しかも、茉緒に思わず俺がもしテロに遭ったら、なんて馬鹿げたことを聞いて怒らせてしまった。
ほんとに俺は間抜けだな、これで茉緒を守っていけるのか?
自信喪失、疲労困憊、自己嫌悪……
頭の中をぐるぐる回る。
でも茉緒を抱きしめてるとその温かさに心身ともに癒されていくのがわかる。
今さっき不甲斐ない自分に落ち込んでいたというのに、俺のために怒って泣く茉緒に、どんな俺でも受け止めてくれる俺を必要としてくれてると思うとあっという間に気力が湧き上がる気がした。
茉緒は俺の原動力。なにがあってもやっぱり俺は茉緒を離せないと思い知る。
しかしさすがに寝不足がたたってもっと茉緒と話したいというのに瞼が重い。
寝心地のいい温かさに包まれて俺の意識は沈んでいった。

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