キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
「まあそうだな、いっか。茉緒ちょっと手伝え」
「ん?」
なんだろうと思って行ったらお兄ちゃんは項垂れる智成を抱えて入ってきた。
「え? どうしたの?」
「ちょうどマンション前で会ったんだけどさ。智成会食でしこたま飲まされたみたいでダウン寸前なんだ。智成の部屋開けて」
「あ、うん」
あらあら、お酒弱いと大変ね~なんてのんきに思いながら智成の部屋を開けてあげるとお兄ちゃんは智成をベッドに横たわらせた。
「あ~、重かった。後頼むわ、俺風呂入ってくる~」
「あ、ちょっと」
お酒の匂いをぷんぷんさせて顔をしかめている間にお兄ちゃんはさっさと部屋を出て行った。
もう、スーツの上着くらい脱がせてやりなさいよ。そのままじゃ寝苦しいでしょ。
智成はすでに意識がないみたいで私が脱がせるのは骨が折れそうだ。
仕方がない。
スーツはぐしゃぐしゃになっちゃうけど諦めてもらおう。
ネクタイくらいは取ってあげようかと思って近づき顔をのぞき込む。
ちょっと赤らんだ顔に苦しいのか渋い顔をしてる。
それでもやっぱりイケメンさまはイケメンさまだった。
精悍な頬はすべすべで赤く染まってるだけで色気が増している。
やっぱりずるいわこのヒトは。
そうだ、昨日意地悪されたし、お返しにイタズラしちゃおう。
軽い気持ちで私はベッドに上がるとよいしょっと智成のお腹に跨った。

< 25 / 252 >

この作品をシェア

pagetop