キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
朝ご飯の用意をしてると眠そうな顔してリビングに入ってきた智成にドキッとする。
「おはよ」
「あ、おはよう……」
お味噌汁をよそう隣で水を飲む智成をちらりと見る。
それに気づいた智成と目が合った。
「なに?」
やけにテンションの低い智成に戸惑う。
ぜったいからかってくると思ったけどそんな様子もない。
「あ、やー、昨日……映画見てるうちに私寝ちゃってたよね? もしかして部屋まで連れてってくれたの智成?」
ピクリと反応した智成の雰囲気がなんかピリピリしてて怖い。
「ああ」
「あ、ありがと。重かったでしょ? ごめんね」
恐る恐る言うと智成が固まったように止まって私をまじまじと見てくる。
え? 私昨日なんかした?
「お前……」
「おっはよー」
智成がなにか言いかけたときお兄ちゃんがあくびをしながらリビングに入ってきた。
お兄ちゃんの方をちらりと見て口を閉ざした智成はいきなり私の頭に手をポンポン叩いた。
「別に、重くない」
それだけ言ってサッとキッチンから出て行った智成に呆然とする。
あれ? なんで頭ポンポン? なんか優しい? どしたの? 
頭の中に疑問符が浮かぶ。
「あー茉緒おはよう」
「あ、お兄ちゃんおはよう」
呆然としていたら智成と入れ替わりでお兄ちゃんがわざわざキッチンまで来て挨拶した。
「昨日は、よく眠れたか?」
「え? うん。なに?」
「いや、それならいいんだ」
え? なに? なんなの?
やけに神妙な顔つきのお兄ちゃんに疑問符が増えるばかり。
智成とお兄ちゃんもなんかよそよそしいんですけど?
いったい、昨日、なにがあったの~?
なんか訊くのが怖くて私までぎくしゃくしてしまった。

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