キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
翌日、智成は朝早く出て行き、今は夜の十一時過ぎ。
帰ってくる気配がなくて今日も昨日のトラブルで忙しんだろう。
お兄ちゃんは無事に向こうに着いたかな? 交渉上手くいけばいいけど。
テレビを眺めながらぼんやりとしていたらスマホが鳴った。
智成かなと思ったら、ニューヨークにいるはずのお兄ちゃんからだった。
『よっ、茉緒元気か?』
「お兄ちゃんどうしたのこんな夜中に。どこにいるの?」
『ニューヨークだよ。今こっちは朝の十一時前だ』
「あ、そっか。無事に着いたんだね、よかった」
ニューヨークとの時差は十三時間。
お兄ちゃんが行ってしまった後ちょっと調べたんだった。
「仕事は? トラブルはどうしたの?」
『ああ、話し合いはしてくれるみたいで、これから向かうとこ』
「お兄ちゃん大丈夫?」
何も知らない私が訊いてもどうにもならないけど、やっぱり心配。
『大丈夫だ。俺、交渉術には長けてんだよ。きっとう上手くいく』
「そっか、お兄ちゃんって意外と頼もしいんだね」
『なんだ意外って。これでも優秀なんだぞ?』
電話の向こうでくすくす笑うお兄ちゃんに深刻な雰囲気はなくてちょっと安心。
私もつられてくすっと笑う。
『あ、茉緒』
「ん、なに?」

< 44 / 252 >

この作品をシェア

pagetop