キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
「え?」
「まるで俺の奥さんみたいだ」
にやりと笑った智成にからかわれてるってわかってるのに私の頬に熱が籠る。
「なっ、なに言ってんの? 疲れてるだろうから気を遣ってあげてるのに!」
焦って文句を言うとくつくつ笑う智成にムカッときた。
「それに、そこは奥さんじゃなくてお母さんじゃないの? お兄ちゃんにもお母さんみたいって言われたし」
子供みたいに頬を膨らませてるとその頬に智成の指の背が触れる。
「そうか? 俺には奥さんの方がしっくりくるけど。茉緒はいい奥さんになりそうだ」
ドキッと胸が跳ねて、ばっとその手から離れると触れられた頬を隠した。
智成を見ればなぜか優しい眼差しで私を見つめてくる。
さっきよりも頬が熱い。
「なっなっ……」
「お言葉に甘えて風呂入って寝るわ。遅くまで起きて待っててくれたんだろ? サンキュ。茉緒も早く寝ろよ」
智成は立ち上がるときに私の頭をポンと撫でリビングを出ていった。
言葉に詰まって何も言えなかった。
なにあの甘い言葉は! からかうにもほどがある。
あんなこと言われて本気にしちゃったらどうしてくれる。
「思わせぶりなこと、言わないでよね。もう……」
私のため息が静まり返ったリビングに零れて消えた。
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