キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
「え? これ」
思わず目を開け確認するとそこには一粒ダイヤのネックレスが光っていた。
「改めて、誕生日おめでとう茉緒」
肩に手を置いた智成が私のこめかみにキスをした。
い、いまナニした!?
もう、なにがなにやら、パニックでなにが起こってるかわからない。
放心してる間に智成が自分の席に座ると待っていたようにウェイターがシャンパンを注ぐ。
落ち着けるように深呼吸して智成を見つめれば優しい眼差しが返ってくる。
「ど、どうして、ここまでしてくれるの? プレゼントは夢の国じゃなかったの?」
「これはおまけ」
おまけでこんな高そうなネックレスプレゼント普通する?
ほんとにもう、このヒトはどこまでもイケメンでキザで優しくて甘い。
これが本物の恋人なら舞い上がるほどうれしいんだろう。
でも、ここまでしてもらうと申し訳なくて、ちょっと胸が苦しい。
明日から私、智成の前で普通でいられない気がする。
「あんまり甘やかさないでよ……」
「俺が、喜ぶ茉緒を見たいだけだから、気にすんな。ほら、乾杯」
気にするってば! っていうのは吞み込んでグラスをチンと合わせた。
ああ、どうしよう……智成が大好きだ。
元々、かっこよくてタイプの人だったけど、お兄ちゃんの友達だし、私のこと妹くらいにしか思ってないと思うけど。どんどん惹かれていく自分に気づかないようにしてきたのに。
今日、智成と恋人のふりしてこんなにたくさん甘やかされて、一気にタガが外れてしまった。
ほんとに、ここまでしてくれるとは思わなかった。どうしてくれようこの気持ち。
恋なんて、もう二度としないと決めてお兄ちゃんの許に来たっていうのに、あっさり恋に堕ちるとかちょろい自分が情けない。
なのに、今この瞬間を幸せだと思う。
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