キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です


そして、早々に引っ越ししてから一週間、お兄ちゃんとのふたり生活に慣れてきた。
最初は料理をつい三人分作ってしまって三日も同じおかずを出すとお兄ちゃんに作りすぎと笑われた。
智成は食生活どうしてるんだろうとちょっと心配になってるとそれを察したのか、時々智成を家に招待しようと言ってくれた。
そして今日智成がうちに遊びに来ることになっている。
その前に早めに仕事を上がれるという智成と初めて外で待ち合わせして束の間のデートをする予定だ。
待ち合わせ場所の駅で待ってる間に窓に映る自分の姿をチェックする。
デートと言っても近くの商店街を歩いて夕食の食材を買い家に帰るだけなのに、柔らかいシフォンワンピースにパンプスと少し気合の入れすぎた格好に苦笑い。
一週間ぶりに逢う智成のことを想うとウキウキと浮かれ気味で通行人が見てるというのについにやけてしまう。
「茉緒」
声を掛けられはっとして振り向くと駅から出てきた智成が足早にこちらに来ていた。
仕事帰りにそのまま来た智成はスーツ姿で、見慣れていたはずなのに久しぶりなせいかきゅっと胸が高鳴った。
目の前で立ち止まった智成を見上げ、言葉が詰まる。

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