ハニー、俺の隣に戻っておいで
けれども、ニーナは生理中だし、会わないほうがよかったかもしれない。

一方、ヘンリーは少し驚いていた。 ジョンは仕事を全て放り出して、ニーナに会うためだけに大学までやってきたのだろうか?

なんてこった!

ニーナを彼のもとに連れて行けば済む話じゃないか?

それはともかく、どうやらジェームズもニーナと一緒にここにやってくるところだったらしい。

「先輩、行こう。 今晩は夕食をおごるからさ!」 ジェームズは、ニーナがやらかしたことはもう忘れて興奮気味にそう言った。

彼はジョンとニーナがお互いに会う機会を作らなくては行けないのだ。

「夕食? 私も連れて行って!」とミシェルが素早く答える。 食べ物が関係している限り、彼女は誰よりも早く反応するのだ。

「夕食?」 ニーナも尋ねる。 夕食をおごるなんて、 一体どういうつもりなのだろう? ジェームズのおふざけに付き合うのは決して良い考えではない。

昨夜、彼がジョンの電話を奪って以来ニーナはこの男を警戒しており、 信用していないばかりか、彼の一挙手一投足を疑り深く注視しているのだ。

そこで彼女はジェームズの濡れた顔を見ながら、「大丈夫?頭おかしいの?」と言った。

ジェームズは今更少し恥ずかしい気がした。

そんな反応は期待していなかったからだ。

彼らの周りにも、思わず笑い転げている人がいるではないか。 実は、彼らは皆、ニーナとジェームズの事に詳しいのだ。 初めは誰もニーナとジェームズが付き合っているとは思いもしなかったが、今では間違っていたのは自分たちの方だと考え始めていた。

然もなくば、誰が彼の顔に水を吐きかける勇気などあるものか? そんな人を食った真似ができる者がいるだろうか?

それは、おそらくニーナだけだという事だ。

そして、彼女の言ったことは間違っていないらしく、 ジェームズはどうやらおかしくなっていた。 ニーナは明らかに相手にしていないのに、彼の方はまだ夕食に誘おうとしているのだ。
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