ハニー、俺の隣に戻っておいで
「ジョンって言っただけよ」とニーナが言い返したのでジョンは少し呆気にとられ、何となく失望する。 彼はニーナが今しがた言ったことを聞いて理解できたのだろうか?

「はいはい」ジョンが満足げな笑顔で答える。 「そうだな、おあいこだ」

過去のことは水に流し未来に向かって歩き出す、そういうことだ。

「本当に? 本気よね?」 ニーナは恍惚どころではなく、有頂天で叫んだ。 そして、彼の言ったことがよく理解できなかったので、誤解を避けるために確認しなければならなかった。 「二度とこっそり私を騙したりしないのね?」

彼女は、ジョンが仕返しのために堂々と直接攻撃を仕掛けてくるのは怖くなかった。 けれども、こっそり手に負えないような罠を仕掛けられるのはやはり不安だったのだ。

そして、何より重要なことは、ジョンはすでに友人まで諍いに巻き込んだことがあるということだ。 ニーナにとって友達を見つけるのは簡単なことではないので、自分のせいでミシェルがトラブルに巻き込まれるのは何としも避けたかった。

「俺がそんな男に見えるか?」 ジョンはリラックスして尋ねたが、 顔には微かな笑顔が浮かび、心の底から真実を言っているのがわかった。

その朝は、日差しのもたらす暖かさがなければ曇や霧に包まれていたかもしれないが、ジョンはまるで自分を包み込むきらめく暖かさに囲まれているように気がしていた。

ところが、ニーナは躊躇いもせず頷いたのだ。 「うん、そういう男に見えるわ」

毎度のことながら、ジョンは彼女の単刀直入さに呆れてしまった。 どうして彼女は思ったことをそのまま口に出さないと気が済まないのだろう?
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