ハニー、俺の隣に戻っておいで
「わかった」ジョンはそう言うとドアを開け、急いでオフィスに入って行った。

ジョンが中に入るのを見届けると、ヘンリーは思わず喘いだ。 ジョンが自分を簡単に行かせてくれるとは思っていなかったが、意外にもすぐに放してくれたばかりか叱られもしなかったのだ。

ヘンリーはライングループのメッセージにすぐさま返信する。 「シー社長は 今日とてもご機嫌です。 書類に署名が必要な人は、社長の気分が変わる前にいらっしゃってください」

ライングループにはすぐさま九十九を超えるメッセージが飛び交い、 好奇心に駆られた者が、なぜジョンは今朝時間通りに会社に来なかったのかと尋ねさえしたが、ヘンリーはそれについて答えなかった。

午後四時、ヘンリーはライングループに新たにメッセージを送信し、それは社員たちをさらに驚かせることになった。

「シー社長は いつもより早く退社されました」

その時ヘンリーは、ジョンが遅かれ早かれ間抜けで役立たずなCEOになるだろうと本気で考え始めていた。
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