ハニー、俺の隣に戻っておいで
ではなぜ、彼女はニーナにそんな酷いことをしなくてはならなかったのか?

「なんであなたを裏切ったかですって?」 イザベラは涙の合間に嘲笑したが、羨望と軽蔑がはっきりと顔に現れていた。 そして、ゆっくりと立ち上がったが、まだ自分が高貴な王女であるかのように振る舞っていた。

何れにせよニーナが助けてくれないと言うなら、無実の振りなどしても仕方がない。

「あんたを友達だと思ったことは一度もないわ。 あんたってお金も権力もないし、いいところの出でもないただの孤児じゃないの。 ニーナ、自分が本当に私の友達に相応しいと思っているの? あんたの見た目がアルバートの気を惹くほど良くなかったとしたら、あんたなんかに近づこうとするわけがないじゃない! 自分でわからないの、そのくらい? 田舎者のくせにアルバートを捕まえようったって、 そんなの無理よ」

イザベラの口から嘲笑と皮肉が発されるのを聞いて、ニーナは彼女がどれほど自分を憎んでいるのかにようやく気がつき、 しばらく彼女を見つめていたが、何も言えなかった。

要するに彼女の美貌とアルバートが全ての原因なのだ。

ニーナはもうイザベラの言葉にあまり驚かなかった。 当初、イザベラは他の人たちとは違うけれど、少し甘ったれているだけだと思っていたが、 彼女を信用したのは大間違いだったというわけだ!

「イザベラ、もう私の視界に入らないでちょうだい」ニーナは氷のような口調で吐き捨てると、振り返りもせずに立ち去った。

ニーナが傲慢に立ち去るのを見るとイザベラは深い反感を覚えた。 「何あれ? 視界に入るなって? こんな目に遭わせておいて、今更視界に入るなですって?」

イザベラはバッグをぎゅっと握りしめていたが、震える手を中に突っ込むと 狂ったようにフルーツナイフを取り出し、しっかりと構えた。 そして、ニーナの無防備な背中を殺意を込めた眼差しで睨んだ。

「ニーナ、借りは返してもらうわよ」
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