ハニー、俺の隣に戻っておいで
もしかしたら、これで家族を救うことができるかもしれない。 おそらく、アルバートは何か握っているのだ。

一方、アルバートはというと彼女のそんな幻想など眼中にないようだった。 彼は自分の手首を握りしめているイザベラの手を疎ましく見下ろし、 素っ気なく振り払ったのだ。

イザベラはむっつりと手を引っ込めたが、アルバートが何をしたいのか皆目見当がつかなかった。

「俺にはシャン家を救う手立てがある。でも、おまえは俺の言う事を全部聞かなくちゃダメだ。わかったか?」 アルバートがふざけてイザベラの頬を摘むと彼女は傷ついたが、 彼の方はそんな事とは気づかずにまだニコニコしていた。

そして、イザベラの顔から涙が零れ落ちると、 アルバートはうんざりした様子で手を引っ込めた。

以前のアルバートはこんな風ではなかったのに、どうしてこうも変わってしまったのだろう?

彼はまだニコニコしていたが、その笑顔はどういうわけか以前にも増して邪悪そうだった。
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