ハニー、俺の隣に戻っておいで
さらに、恐れが彼女を駆り立てたので、 ミシェルを置き去りにして駆け出してしまった。

ジェイソンは顔見知りの学生に会うとは思っていなかった。 どうやら、二人はL大学の学生のようだ。

しかし差し当たり、ジョンをなんとかすることの方が先決だ。

ジェイソンが振り返ると、ジョンが眉毛をきつく吊り上げ、今にも人を殺してしまいそうな様子で立ち尽くしているのが目に入った。 ジョンが頭の後ろに手をやる。 ジェイソンはそのときようやく、ジョンの頭に木片が付いていて折れた木の棒が床に転がっていることに気がついた。

ジェイソンは思わず笑ってしまった。 ジョンはついにお似合いの相手を見つけたのだ。

ジョンはというと、ジェイソンに恥ずかしさを悟られないよう、折れた木を怒り任せに蹴ってどかした。

彼はいつだって自分の評判に敏感なのだ。

「おい!おまえ、何か見たか?」
ジェイソンが黙ったままなので、ジョンの顔が曇る。 彼の陰気な声が廊下に響き渡り、みんな背筋が凍りそうだ。

ジェイソンが何を見たのか話そうものなら、ジョンはきっとツケを払わせるだろう。 それも、彼が想像する十倍は酷い目に遭わせるに違いない。
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