迷いの森の仮面夫婦

「おはよう! 成瀬ちゃん! 早乙女先生のお話よ!」

「早乙女先生?」

「あれれ……成瀬ちゃんまだ会った事ないっけ~?
内科の王子様、早乙女先生よ。
そっかあ……成瀬ちゃん、高塚(タカツカ)先生のチームで訪問介護とかが多いもんね~。
それに早乙女先生も診療が終わったら忙しくしている人だしね」

早乙女、という苗字は日本では多い方ではないと思っている。
胸がどくんと跳ね上がる。 けれど、出来るだけ冷静に看護師たちの話に聞き入る振りをした。

「早乙女先生っていう院内でも人気の先生がいるのっ。
背も高くって、綺麗な顔立ちをしていてね、患者にも私達ナースたちにも優しくって大人気の人なのよ」
「そうそう、早乙女先生のお家って病院を経営されてるのよね?
でも当の本人は自分の家の病院を継ぐ気はなくって、うちの病院で勤務医をしているの。
何でも高塚先生をとても尊敬しているって話で、高塚先生は人格者だからね~」
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