迷いの森の仮面夫婦

「だって、元々料理の才能がないのは分かってたけど、特にお菓子作りは難しかった。
分量をはかったり、細かい仕事は苦手みたい…。
自分で練習してもちっとも上手にならないし」

「雪穂の料理は十分美味しいし、このチョコレートだってちょっと形が歪なだけで味は美味しいよ。
それに雪穂だって仕事をしているんだから、家事は分担しようって話したじゃないか」

実際に海鳳の方が料理も上手で、手先も器用だった。

何でも器用にこなすタイプだな、とは思ってはいたものの、ここまで何でも出来ちゃあ私の出る幕が全くない。

「でもお医者さんって激務だから、せめて栄養のあるご飯は作ってあげたい…」

「雪穂は優しいな。でも俺本当に大丈夫だよ。 それに雪穂の仕事の方がよっぽど体力を使うだろう。
そんな雪穂にたまに栄養のあるご飯を食べて貰うために、仕事を早く終わらせるようにするよ」

そう言うと海鳳は私の頭を優しく撫でて、にっこりと優しく笑う。
本当に変わらない人だわ、そう思う。
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