言いましたが、 違います‼︎


[ごめんね。で、僕は何をすればいい?]

言いがかりを怒る事なく、
斉藤部長の優しい口調が私の心を落ち着かせてくれた。

ゆっくりと大きく息を吸う。

「知り合いの赤ん坊を数時間預かっています。
今まで赤ん坊と接した事がないので、指導して頂きたく、三枝さんの連絡先を教えて頂けないでしょうか?」

調子がいい事を言っている自覚はある。
それでも、藁にもすがる思いだった。

斉藤部長は少し間を置き、

[残念ながら、私の口から三枝君の連絡先をお教えする事は出来ません]

社法に反する事ぐらい重々承知だ。

お騒がせしました。と言うと

「でも、三枝君に根津君の連絡先を教える事は出来ます。それでいいかな?]
「お願いします」

即答し、電話番号を伝える。

電話を切り、「もうちょっとだからね」と赤ん坊をあやしていると10分も経たない内にスマホが鳴る。

ようやくなんとかなる気がする。

[三枝です]
「突然すみません」

三枝さんの声を聞いただけで泣きそうになる。


赤ん坊は泣き止まず、グズグズ泣いていたものが、ギャァと顔を真っ赤にして泣き始めた。

[根津、あんた今家?どこに住んでるの?]

必死で赤ん坊をあやしてながら、三枝さんの質問に答える。

[近いわ。すぐにそっちにいくから。30分頑張りなさい]

< 20 / 124 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop