政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
「ありがとうございます。
では、少々お待ちください」

ぱたぱたと足音を立てて彼女がランドリー室へ消えていく。
毎日、新しいシーツに交換してもらえるなんて贅沢だと思う。
しかも洗濯したものではなく新品だ。
寝心地のいいシルクのシーツはクリーニング不可なので、必然的にそうなる。

「すみません、お待たせいたしました。
昼食ですよね、すぐにご準備いたします」

「あ、いえ。
ゆっくりでかまいませんので」

今度はキッチンへ入り、てきぱきと準備をはじめた彼女の背中へ声をかけた。

「すぐにできますので少々お待ちください」

「よろしくお願いします」

これ以上は私は手出しできないので、おとなしくダイニングに行って待つ。
メイドさんはどちらも、私よりも少し上、零士さんより少し下。
礼儀正しく、とても感じがいい。
不満があるとすれば、悪いことをしているわけではないのに「すみません」とすぐに謝ってくることだ。
そこまでへりくだらなくていいんですよ、と言いたいところだが、上手く言える自信がなくて悶々としている。

「お待たせいたしました」

十分程度で昼食が私の前に並ぶ。
ローストチキンのサンドイッチ、それにクラムチャウダー。

「ありがとうございます。
では、いただきます」

お礼を言ってサンドイッチをぱくり。
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