政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
その日はなにもなくて、いつものようにドレスの試作をしながら唸っていた。

「あーっ、上手くいかなーい!」

目の前の型紙をぱーっと天井に向かって投げる。

「ううっ……」

でもすぐに冷静になって自分が撒いたそれらを拾っていたら、携帯がピコンと通知音を立てた。

「零士さん?」

机に置いてある携帯を手に取り、メッセージを確認する。

「古手川課長からだ……」

会社を辞めてからは特に連絡は取っていない。
なにかあったんだろうかとざわつく気持ちを抑えつつメッセージを確認する。

「えっと……」

ピコンピコンと何度かに分けて送ってこられたメッセージには、独立して自身の店を持つことになったとあった。

「凄い……」

画面に指を走らせ、お祝いの言葉を贈る。
すぐに課長――古手川さんから、返事が来た。

【開店記念のちょっとしたパーティを開くんだ。
鴇田も来ないか?
一緒に働いていた皆も呼んである】
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