政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
携帯を取る手は、カタカタと細かく震えている。

「まだある」

無言で、画像をスライドさせる。
さらに出てきたのはなにも身につけず、まるで彼としているかのような画像だった。

「これを君の、旦那に送った」

びくっと、携帯を持つ手が反応する。
……零士さんにこれを送った?
でも、彼からはなにも聞いていない。

「……軽蔑、します」

こんな状況なのに頭は酷く冷えていた。
怒りはレベルマックスを通り越すと、反対に冷静になるらしい。
あの日、意識のない私に彼はことにおよんだ。
さらに、写真まで撮って、零士さんに送って。
こんな人を今まで恩人と呼び、尊敬していたなんて反吐が出る。

「だろうな」

困ったように彼が笑う。
それを醒めた目で見ていた。

「言っておくが僕は君を抱いていない。
キスは……させてもらったが」

それで罪が軽減されるとでも思っているのだろうか。
意識のない私を好きにした時点で、それがどの程度だろうと同じ罪だ。

「なんでこんなことをしたんですか?」

「店のためだ」
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