今さら好きだと言いだせない
「勉強になったよ。今日は一緒に回ってくれてありがとう」

「かなり歩きまくったから疲れただろ」

「あぁ……ちょっと足が痛いかな」


　今日の服装に合わせて、私の足元はパンプスだ。
　立ちっぱなしで歩いてばかりだったので、さすがに足の先が悲鳴をあげつつある。
　かと言ってスニーカーで来るわけにもいかなかったので、これはもう仕方がない。


「町宮、まだ時間大丈夫だろ？」

「え、うん」

「どっかで飯食って帰らないか？　あー、でも会場でいろいろ食べたよな。じゃあ、居酒屋とか？」


　芹沢くんは私の足を気遣って、どこかで休憩してから帰ろうと提案してくれているのだ。
　そのやさしさが心にじんと染み入った。


「ビールが飲みたい」


　そう言いながらネクタイを緩める芹沢くんの仕草がセクシーで、隣で私はドキドキしてしまう。
　徳永さんに対しても思ったけれど、やはり美形な人は得だ。


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