執事的な同居人
日々



遊園地に行ったあの日から数日後。





私は" あの家 "に引っ越した。




ちゃんと言えば、戻ってきた、かな。





実家とは違って少し狭い家だけど、私にとっては居心地の良い場所。



ここに戻ってくる時、またお父さんが泣きそうな顔をしていたっけ…。



あの過保護な部分どうにかならないものかと、…まあそれはお父さんなりの愛情なんだと知った。



大切にされることは悪いことじゃない。


とても有難いこと、なんだよね。






家具の配置などは私が居た時と変わらずで、




ただ1つ。


変わったことといえば


それは、颯太さんの部屋。



山積みになっていた難しそうな書類も


沢山あったスーツも


颯太さんの私物は、1つも無い。





戻ってきた日には既に、ベッドとデスクなどの家具以外何も無い部屋になってた。





当然のことに寂しい気持ちになったけど、不安で探しに行こうという気持ちにはならなかった。





だって、約束したんだもん。




颯太さんは長期間
出張でこの場を離れるみたいで、


私とほぼ入れ違いで違う場所へと行ってしまった。





正直、その話を聞いたときはまた会えないんだって悲しくなったけど…





「俺が、あの家にいないだけ。
休みの日はこうやって会えるよ。

だから今と何も変わらない。」





その言葉に、ホッと安心感を覚えたんだ。





ちゃんと会ってくれるんだって。


もう、会えない、なんてことはないんだって。

< 362 / 422 >

この作品をシェア

pagetop