アンドロイド・ニューワールド
私を造り出したのは、久露花局長と朝比奈副局長です。

そして、私に様々な教育、改良を施してくれたのも、あの二人です。

従って、二人を私の「両親」とみなす。その理屈は分かりました。

いえ、理屈を理解しただけで、納得は出来ていません。

前述の通り、二人は私の肉親ではないし、そもそも私に肉親など存在しないからです。

二人を私の両親と定義するなら、両親という言葉の意味を、一般的に使われている意味よりももっと、広義に解釈しなければなりません。

「先程から奏さんは、局長と副局長を、私の両親と定義しているようですが…」

「うん、違う?」

「真偽は定かではありません。しかし、私とあの二人に、血の繋がりが全くないのは事実です。これでも、親と呼べるものでしょうか?」

「なんだ、そんなこと気にしてたの?」

と、奏さんは、何でもないことのように言いました。

両親を定義するには、血の繋がりは必要事項では?

しかし。

「血の繋がりなんてなくても、その人が自分を育ててくれて、親代わりになってくれたなら、その人は親だよ」

と、奏さんはさらりと言いました。

「それに、血の繋がりだけが親子関係なら、養子縁組や、結婚した相手の義理の親はどうなるの?」

「あ…」

「血の繋がりがなくても、親は親でしょ?そりゃ実子ではないかもしれないけど。我が子のように大事にしてくれて、親のように慕っている関係なら、それは立派な親子だよ」

と、奏さんは自信たっぷりに断言しましたが。

「…」

と、私は何も言い返せず、無言でした。

その考え方は…実に「人間的」です。

『新世界アンドロイド』である私に、そのような「人間的」な理屈が通用するとは、とても…。

…。

…それでも…。

「良いなぁ、瑠璃華さん。素敵な両親がいて。ねぇ、お母さんはどんな人?副局長って人。その人も面白い?」

と、奏さんはすっかり、局長と副局長を、私の両親と決めつけています。

今からでも私は、「私は人間ではないので、やはりあの二人は親ではありません」と、訂正するべきなのでしょう。

…でも…。

「…面白くはありません。そもそも、私も面白い人間ではありません」

「え、自覚ない?充分ユニークだと思うけど…」

「私はいつでも、常に真面目です」

と、私は言いました。

…言えませんでした。

何故か私は、「二人は両親などではない」とは言えませんでした。

理由は分かりません。不思議な感覚です。

それはあまりにも「人間的」な感覚で…私には、理解し難いです。
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