おどおど姫と甘い恋♡



教室に戻ったら、床に旗を広げて1年たちが頑張ってんのが見えた。


頑張る1年のその横で、雄介は今日もLINEに夢中。


つーか2年の女子とそんなやり取り続いてんなら、もう上手くいくんじゃねぇ?って、思うけど。


そんな簡単なことじゃないって、全然進展しない雄介から学ぶことも少しはある。


旗係のはずのヤマに至っては、教室にすらいねぇ。


自由奔放な旗係の3年は、今日もやっぱりマイペース。



「大ちゃんさん、ここお願いしていいですか?」

「うん。」



何度も失敗して消しゴムで消したのか、少し黒くなってる場所を、桑野に頼まれた。


鉛筆を持って、頼まれた場所を描いていく。



「お、やってるねー」



チームリーダーの集まりから帰ってきた菊が、俺の上から旗を覗き込んだ。



「あれ、先週から全然進んでなくね?」

「言うな……。」

「ダメじゃん」

「いーの、みんな頑張ってるし。」



なんもしない雄介と、どこにもいないヤマ以外、地道に頑張ってはいると思う。


基本楽しくをモットーに、1年たちはちゃんと手を進めてくれるし。


だけどそれでも進まないのは、多分、みんな丁寧すぎるから。


桑野はきっと完璧主義で、上手くいかなかったら何回も消して、最終的には俺に頼んでくる。


他の1年はそんな桑野を見て、生半可な絵じゃダメなんだと察して、線1本にもものすごい時間をかける。


やる気のない3年と、丁寧すぎる1年の集まりで、色んな意味でマイペースな旗係は全然進まない。


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