若旦那様の溺愛は、焦れったくて、時々激しい~お見合いから始まる独占契約~
校門を抜けて、大通りではなく駅へと続く道の方へと進みながら、私は不意に浮かんだ疑問を彼にぶつけた。
「八津代先輩も和菓子を作ったりするんですか?」
「あぁ、作るよ」
「すごい……作れるんですね」
深く感心しつつ呟くと、すぐに蓮さんが不本意だというように目を細めて私を見た。
「作れるよ。むしろ和菓子作りは俺の趣味だけど?」
「ご、ごめんなさい。今の、馬鹿にしたつもりは全くなくて、逆に心の底からすごいなって思ってます。先輩器用そうですもんね。私は不器用だから、繊細な和菓子作りには向いてないだろうなぁ」
誤解を招く言い方をしてしまったと反省しつつ言葉を並べていると、そっと蓮さんが私に身を寄せてきた。
「興味があるなら、教えてあげようか? 手取り足取り」
耳元で囁かれた言葉は甘ったるく、そして艶やかに響いた。私の中で広がったくすぐったさが、一瞬で頬を熱くさせる。
「顔、真っ赤。今のでなにを期待したの?」
「べ、別になにも! からかわないでください!」
楽しそうに笑う蓮さんを目にしてしまえば、それ以上反論出来ない。