塩彼氏の愛
初めての告白に嬉しくて嬉しくて
ポロリとこぼれ落ちた涙を悟られないように拭う。声を上げて喜びたいし、すでにユンちゃんに対しての怒りはキレイさっぱりと消えてる。

でも、今まで不安もたくさんあったし
正直、毎日のように塩対応されて、私がユンちゃんを好きじゃなかったらこんなの耐えられるわけがない。

結局は惚れたもん負け。
完敗だよ、ユンちゃん。

押し込まれた車内でボケーッと外を眺めてると
急にユンちゃんと出会った頃から今までのことが走馬灯のように駆け巡る。
ずっと見つからなかったパズルのピースが上手くハマったような感覚になり頭がスッキリしてくる。

ユンちゃんは私の手を恋人繋ぎのように重ねて
黙って前を向いてたけど、私が黙ってボケっとしてるので顔を覗き込んできた。

その時に、今の今ハマったピースの答え合わせがしたくなり、間違いかどうか本人に直接確認したくなったので、うーんと顎に手を置いて考えながら思い切って聞いてみる。

「もしかして、もしかすると、もしかしてさ…
ユンちゃんってめちゃくちゃヤキモチ焼き?
さっきも須崎さんにヤキモチ焼いてた?あっ、あの時のアレもかなぁ?もしかして、お兄ちゃんにも妬いてる?」
と、ユンちゃんの方を向いて首を傾げると

前を向いたまま、顔がみるみる赤くなり
握ってない方の手で口を覆うと
目が右行ったり左行ったりと泳ぎ始める。

そして…

「やっと気がついたか?バカめっ
ああ…もう 本当 ムカつく…
俺はずーーっと妬きっぱなしだ。
帰ったら償ってもらうからな…」

と、言うと
タクシーの運転手さんがクスリと吹き出し
ユンちゃんは心外とでも言うように咳払いをすると車内はまた静けさを取り戻す。

ユンちゃん、素直じゃないなぁと思ってたけど実はめちゃくちゃ照れ屋なのね、照れた顔が糖度100%じゃんか。

ふふふ笑
かわいいなぁ
かわいい奴め…

私は声を出さずにニヤッと笑って見せると

ユンちゃんはまだ少し赤い顔でギロリとひと睨みすると、握られた手に一瞬ギュッと力を込め、ニヤッと笑い返してきた。

ひひひひひ笑
何その顔?0から一気に100を振り切る
その顔は…格好よすぎてかわいすぎて
ニヤける顔が抑えられません。

完全に私の敗北。
はい、恋は惚れたもん負けなのです。
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