塩彼氏の愛

ユンちゃんの威勢が鎮火したので
少し冷静さを取り戻した私は涙が溜まった目を見られたくなくて、下を向きながら

「…だって　ごめんなさい、言いすぎた。
泊まらないのはそれだけじゃない。ユンちゃんと離れた時に負担にならないように…重荷にならないように…したいと思って…だから、今日はそのまま家に帰るよ…」

目をギュッと瞑って涙が垂れてこないように力を入れパッと目を開き、ユンちゃんと目を合わせると口角だけを軽く上げて笑みを見せる。

すると、ユンちゃんは私をガバッと胸に抱き寄せ、私の頭に顎を乗せ背中をスリスリと撫でながら

「…ハナ…ごめんな…自分がダメな奴だとは思ってたけど、こんな事思わせてたなんて…ホントにごめん。俺の意気地が無かったせいだ…。
これから言うのは俺の本心だからな？」

ユンちゃんの胸の中で黙ってコクリと頷くと

「確かに俺は女の喜びそうな気の利いた事なんか言えないし、LINEの返信もしないし、やるべき事に手が抜けないから仕事ばかり優先してハナの事が二の次に思ってるように見えてるかもしれないけど、そうじゃないんだ。こんなんだけど本当は毎日ハナの顔が見たいんだ。だから実家を出て部屋を借りたんだよ。ハナに来て欲しくて。できればハナと一緒に住みたい、空兄が許してくれないけど…。
世界で1番ハナを愛してる。
ハナだけが好き。ハナ以外の女なんかいらない。ハナが可愛くてそれどころじゃない。それなのにハナは俺に会いにきてくれないし、絶対に泊まってくれない。そして、周りの男を全て蹴散らしてハナの隣にいるのに、ハナは無自覚で全然自分が可愛いことに気がつかない。本当にバカだなぁと思うんだけど…可愛くてしょーがない。ああああ〜、恥ずかしい！！でも、ハナが離れて行く方が嫌だ！ハナ、お願いだから俺から離れないで。見捨てないで。会わないのはわりと我慢出来るんだ。頭の中で毎日ハナに会いに行ってるよ。笑った顔や怒った顔が目に浮かんで何百回と抱き潰してる。でも、顔合わせてしまったらダメなんだよ。可愛くて触りたくてどうしようもない。それなのに、ハナは他の男に持ち帰られそうになってるし。余計我慢出来ない。今日はウチに来て？…ハナ？いいね？強制だから」

と、言うと、頭から顎が離れ腕を引かれて
有無も言わさずタクシーに押し込まれた。