先輩の好きな相手は俺じゃない
「すぅ……」





 先輩、寝ないで起きてくださーい(笑)





「……風邪引いたら駄目だし、布団かけに行くか」





 先輩の家は少し遠いけど、

 先輩を風邪から守る為だし、しょうがない。





「着いた」




 先輩の部屋の窓はいつも空いている。

 少しは防犯意識して下さい。

 俺みたいなのが部屋に入ってきますよ。





 ……布団。これか。





「おやすみなさい、先輩」





 ……口付けていい、よな。





「……ちゅっ」









「んぅ、レイ先輩……」





 ……またレイ先輩。




 「もう少し、俺を見て下さい……」





 俺がどれだけ先輩に恋しても、

 きっと先輩は気づかないんだろうけど。





「……? レイ先輩?」

「えっ」





 先輩、起きちゃったか。




「おはようございます、先輩」



「……ん、

 ……!?!?!? シ、シンく「シッ」」



「親御さん、起きちゃうでしょう?」



「……え、えぇ?

 なんでここにシンくんがいるの?」



「それについてはどうでもいいですけど」



「どうでも良くないよ……」



「……先輩、また勉強頑張りましたね?」



「バレちゃったかぁ」



「……今、何時かわかります?」



「わかんない」



「深夜3時です。

 先輩、頑張りすぎては駄目です」



「けど……」



「……レイ先輩と同じ学校に行きたいんでしょう?」



「……うん」



「じゃあ駄目です。

 これじゃあ先輩の身体が持ちません」



「……」



「復唱して下さい、

 頑張りすぎないで受験する、はい」



「……」



「……先輩」



「……頑張りすぎないで受験する」



「はい、良くできました。

 ……忘れないでくださいね?」



「うん……」



「まぁ、

 受験勉強頑張りすぎな過ぎると俺と同じ学年になるかもですね?」



「……そうだね」



「俺はそれでも構いません。

 寧ろ、歓迎しますよ?」



「うん」



「けど、先輩は嫌でしょう?

 だから、頑張りすぎず頑張る、でお願いしますね」



「はい」



「……俺は、

 頑張ってる先輩、大好きですよ」



「うん……ん!?」



「しっ……親御さん起きちゃいますよ。

 では、また明日?」



「うん、また明日、かな?」
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