気づけば君が近くにいてくれた



香純ちゃんも決して走るのが遅いわけではないと思う。


むしろ女の子の中ではどちらかと言えば速い部類に入りそうなくらい。


それでも少しずつ、着実に開いていく藤波くんとの差。


藤波くんはやっぱり足が速すぎる。


陸上部の人と引けを取らないくらいだと思う。



「香純ちゃん、頑張れー!」



バトンを受け取るため、スタートラインに立って応援する。


頑張れ。



“やるからには勝ちたい”



それは私も同じ気持ち。



「実桜ちゃーん!今行くよー!」



もう少しで香純ちゃんが帰ってくる。


少し前に藤波くんは私の横を通り過ぎて、既に2週目に入っている。


今の段階で約半周差。


私たちが勝てるかどうか、ギリギリのライン。



「実桜ちゃん、任せたっ!」



何となくバトンパスの受け方は、体が覚えていた。


パシッと音を立てて受け取ったバトンをしっかりと握りしめて、前だけを見て走る。


懐かしい。


学校のトラックよりははるかに小さいものだけれど、その頃を思い出す。





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