気づけば君が近くにいてくれた



「えへへ、実桜ちゃんと恋バナをできる日が来るなんて嬉しすぎる!」



否定したというのに、香純ちゃんは全然聞いていなかったらしい。


本当に本当に違うけれど、同い年の女の子と恋バナができるのは私も嬉しい。


こういう感じ、私にとっては憧れのようなものだったから。



「いや、でも本当に違っ……」


「ただいま……って、2人とも僕がいないからってサボってたでしょ?」



トイレから戻ってきた藤波くんにそう指摘され、私たちの会話は強制的に終了する。



「そんなことないよ?頑張ってたもんね、実桜ちゃん!」



ここは話を合わせるべきだと、何度も縦に頷いた。


藤波くんは疑いの目を私たちに向けていたけれど、「わかったよ」とため息をついて元の場所に座った。


何とか誤魔化せたようで、香純ちゃんはウインクをしながら“また今度ね”と口パクで伝えてきた。


今度……と言っても本当に私は彼氏とかじゃなくてアオイさんのことが気になってただけなんだけど。


でも、アオイさんは本当にいい人だから、香純ちゃんにもいつか紹介することができたらいいな。


もちろん藤波くんにも。


アオイさんは私にとって、とても大切な人だから。





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