気づけば君が近くにいてくれた
ちょっとだけなんて、全くの嘘。
寂しくて悲しくてたまらない。
毎日のように布団の中で泣きじゃくって、疲れ果てて眠って、起きた時には全て夢から覚めているんじゃないかと期待しては現実に引き戻される。
それの繰り返し。
家は全焼してしまって、残っているものは何も無い。
カバンも筆箱も、教科書もノートも、全部買い直してもらった。
それ以外にも服も何もかも燃えてなくなってしまったから、思い出のものが何もないんだ。
お母さんとお父さんとの写真だって燃えてしまって、残っていたのはおばあちゃん家にあった私の小学校の入学式に撮った家族写真が一番新しい唯一のもの。
そんな大切な1枚を昭子おばあちゃんは私にくれて、写真立てに入れて自分の部屋の机の上に置いてある。
新しい部屋は、とっても古くて床は畳の上にカーペットを敷いてあって、歩くとミシミシ音が鳴る。
クローゼットなんてなくて、あるのは押し入れ。
机はお父さんが昔、今の私と同じくらいの頃に使っていたという年季の入ったもの。
それはお父さんを感じられて、ちょっとだけ嬉しくなった。